赤外線写真で撮影した福岡市の街 × 3点
今回、友人から頼まれて改造したカメラも使ってみました。Panasonic DMC-FX66 に SC66 を組み込んだものがそれです。SC70と比較して、葉っぱに色が付きやすいのが特徴です。
どれも、Photoshop におけるカラースワップ済みです。SC66ですと、偽色がかなり目立ちますね。
赤外線写真の画像、撮影技法、カメラ改造の方法など
今回、友人から頼まれて改造したカメラも使ってみました。Panasonic DMC-FX66 に SC66 を組み込んだものがそれです。SC70と比較して、葉っぱに色が付きやすいのが特徴です。
どれも、Photoshop におけるカラースワップ済みです。SC66ですと、偽色がかなり目立ちますね。
以前のエントリでは、RGB編ということで、RGBチャネルを利用したカラースワップを紹介しました。今回のエントリでは、赤外線写真の偽色技法のうち、Labカラーモードを利用した、Photoshopによるカラースワップを紹介します。(後述しますが、無料のGIMPではちょっと手間がかかるので…)
デジタルカメラについている、マニュアルホワイトバランスで、木の葉に調整した後で撮影したデータを使用します。メーカーによっては「SETモード」という名称だったりするようです。
(→ マニュアルホワイトバランスの記述は こちら をご参考下さい)
この写真は、SC70 を装着し 700nm以下の波長をカットして撮影した赤外線写真です。これにLabカラースワップを施しましょう。
メニューから、イメージ → モード → Labカラー を選択します(下図)。
そして、チャンネルパネットから aチャンネルと bチャンネル を2つとも選択します(下図)。
イメージ → 色調補正 → 階調の反転 を選択します(下図)。
チャンネルを全表示すると、結果を見ることが出来ます(下図)。
これでカラースワップは完了です。スワップした結果、以下のように写真が色づきました(クリックで拡大表示)。
RGBのカラースワップ写真と比較してみますが、空や樹木などの色が違う様子を見て取れます。RGBスワップだと淡いピンク色の樹木や草が、Labスワップでは砥の粉色〜卯の花色のような色合いなのが見て取れます。
RGB スワップと Lab スワップは、単純に、雰囲気の違いであり、好みの問題だと思います。どちらのカラースワップでも、どこかの色が情報が失われたりはしないので、好みで使い分けてよいのではないでしょうか。
無料ソフトの「GIMP 2.8」には、Labカラーのモードがありません。
ただし、Labカラースワップを出来ないというわけではありません。
ただ、その手順は少々煩雑で、途中経過がわかりにくいものでした。
そのうちこのブログに描くか、もしくは年末に予定している同人誌に掲載するかもしれません。
LabカラースワップはPhotoshopで行うのが手軽だと思います。
たしか、COREL の PAINT Shop Pro にも、搭載されていなかったと思います。このページをご覧の方から「このソフトならLabカラーのスワップが手軽にできるよ」と、お知らせ下さいましたら幸いです。
赤外線写真は、可視光を遮断して赤外線を透過させるために、フィルターを使用します。ケンコーなどからは、レンズの先にねじ込むタイプも発売されており、金額に目をつぶればとても気軽に使えます。しかし、このブログでは「予算5千円で始めよう」が基本コンセプトです。
ほとんどのコンパクトデジタルカメラは、ゼラチンフィルタ用のマウントを取り付けることが出来ません。そのため、カメラを改造してフィルタを内蔵してしまいます。
では、フィルタは何を使えば良いのでしょうか。富士フイルムからは1000円以下で様々なものが発売されています。このうち、「SC」シリーズや「IR」シリーズを赤外線写真では使用します。
SC または IR フィルターは、20nmごとに、たくさんの種類が発売されています。赤外線写真に使うには、SC56〜SC74 あたりから選ぶことになるでしょう。また、IRフィルターは IR76 〜 IR84 あたりになると思います。IR86〜を使用すると、デジタルカメラにとって露光不足になりやすく、露光時間は長くなり、手ぶれしやすくなってノイズも増え、有り体に言って使いにくいのではないでしょうか。
実際に撮り比べて、比較してみることにしましょう。
フィルム式カメラでは、赤外線写真とはモノクロ写真でした。しかし昨今のデジタルカメラによる赤外線写真は、「偽色(False Color)」を盛り込んだカラー写真が流行です。
この写真は、夏の盛りに福岡市中央区・赤坂にある福岡地方裁判所の前で撮影したものです。同じ場所で、ほぼ同じ時間帯に、ほぼ同じ画角で移した比較したのが、下の写真です。
( ↓ クリックすると、大きく表示できます)
どの写真も、RGBカラースワップを行っています。こうやって比較すると、それぞれ特徴がわかると思います。
IR78 は赤外線しか透過していないので、ほぼモノクロ写真のようになっています。しかし可視光を取り入るにつれて、偽色が強くなっていきます。
この写真では水面まで蓮がびっしり繁殖しているので見えませんが、偽色が強くなるほど、水面や青空の暗さが普通の写真に近づいていくので、赤外効果が弱くなっていくようです。
個人的には、SC66〜SC72あたりが、赤外効果と偽色のバランスがとれて、使いやすいのではないかと思います。
サークル「砂上の空論」やNPO法人ドネルモで活躍されている とり さんに依頼され、Panasonic の LUMIX DMC-66 + SC66 の赤外線写真用のデジタルカメラ改造を行いました。参考までに、材料費を記載しておきます。
材料 | 価格 |
---|---|
デジタルカメラ LUMIX DMC-FX66(Panasonic) | 1,050円 |
SC66 フィルタ(富士フイルム) | 990円 |
0.3mm 透明プラ板(田宮模型) | 630円 |
DMW-BCF10対応 互換充電器(リマークジャパン) | 490円 |
両面テープ・ナイスタック(ニチバン) | 220円 |
合計 | 3,388円 |
この改造手順は、コミックマーケット 85(3日目・12月31日)に発行する同人誌で紹介する予定です。
赤外線写真ならではの被写体として、「雲と青空が同居している空」が挙げられます。この写真は、福岡市天神のショッパーズ前から、空を見上げたものです。
赤外線を透過させやすい空気と、散乱させやすい雲(極小の水の粒)の対比により、雲の形がとてもハッキリと写ります。
肉眼で見たらなんてこともない薄曇りの空であっても、雲の微細な筋が赤外線写真に捉えられ、なんとも悪いことが起きる前兆のようなファンタジックな感じです。
赤外線写真では、いつも見ている日常の風景とは違った表情が楽しめます。
ところで、いくつかの赤外線写真を見ていて気がついたのですが、バスの行き先や路線を表示するLED掲示板が、赤外線写真にはまったく写り込みません。
1枚目の写真に西鉄バスの車両が何台か写っていますが、どのバスもLED掲示板の表示が真っ暗です。
これはつまり、バスのLED掲示板が発する光線は、すべて可視光(約760nm以下の波長)だけで構成されているのだと思います。
考えてみれば当たり前の事ですが、人間に見えない光を発するにもエネルギー(電力)を必要とします。人間に見えれば良いLED掲示板は、可視光だけに限って発光すれば用は済むので、赤外線を発していないということは、それだけ節電をしている、と考えて良いのでしょう。
写真をクリックすると、大きく表示できます。 赤みが強い写真は、SC60をつけ、600nmより長い波長を撮影したものです。可視光をかなり取り込んでいるので、偽色がはっきりと写ります。SC70を使用したものは偽色が控えめなの …
先日、国内線の飛行機に乗る機会がありましたので、空の上から赤外線写真の撮影をしました。いっしょに普通の写真も撮りましたので、並べて比較してみたいと思います。 右側が赤外線写真によるものです。カラースワップは …
携帯電話についているカメラで、TVリモコンの信号送出部をみると、普段は見えない赤外線がカメラに写る、というのは、誰しも一回は試したことがあると思います。 携帯電話に組み込むデジタルカメラは、とくに以前の機種は小型化の為か …
これまでのエントリで「普通の写真と赤外線写真を比較」としたり、実際にカメラを改造してきました。そのなかで、富士フイルムのカットフィルターを組み込みましたが、この製品は様々な波長に対応した製品が揃っていて、どれを選ぶのかも …
さてこれまでのエントリで、ローパスフィルタを外して、かわりにSCフィルタ/IRフィルタをいれて改造する話をしてきました。SCフィルタ・IRフィルタはともに、ある数値よりも短い波長を遮断します。 例えば、富士フイルムの「S …
ローパスフィルタを取り除くことで、ピントがズレるというお話しでした。今回は、ずれてしまったピントを補正した、具体的な事例を写真で紹介していきます。まずは 2mm の板 1枚 を組み込んだ結果が、下の画像です。効果はてきめんで、木々の葉っぱの細かさや自動車の写り方が大きく改善されました。
デジタルカメラを赤外線写真用に改造する際、取り外したローパスフィルタの代わりに、ピント補正用の透明樹脂板をいれるということを度々書いてきました。なぜ、ピント補正が必要になるのか。今回はその光学的な理由について述べます。