饒舌な足裏(劇団 Hall Brothers/福岡県)

[評価:★★★★](※当日2000円)

これまで Hall Bro’s. の脚本は、格差や労働・犯罪といった 社会の縮図 を、小さな閉鎖集団(村とか工場とかね)に当てはめた時事ネタを基にしていた。
今公演は、そういったマクロ的視点を取り払い、もっとミクロ──個人の感情・関係──な視点から、「職場における人間関係」を描いている。

ようやく身の丈に合った視点を意識し、脚本家が解る範囲でのドラマを描き、「社会の闇を浮き彫りにしよう」といった傲慢な立場を捨て去った。
観客と脚本家の視点に合わせたドラマを、エンタティメントとして上演するように、方向性を変えたのだろうか。
意識して変えたのであれば、大いに評価したい。「あ、あーゆー人いるよね」的ドラマは、きちんと成立している。

問題は、従前より感じている「取材能力や社会経験のなさ」が、モロに浮き彫りになる要素が、未だに改善されない事である。

郊外型経済の発達により、人通りが少なくなった商店街に開店した足ツボマッサージ店が舞台になっている。
この舞台において、「入店時期と実力の乖離」「店舗経営を維持する経済問題」の2つが大きな『問題』として描かれるが、後者において、あまりにも取材不足の点が否めない。

…いやさ、フツー商店街だったら「商店街組合」とかあるでしょ? そこと掛け合ってビルのオーナーを説得したりしないの?
ていうかこの鄙(ひな)びた商店街で、テナントに出て行かれて一番困るのはビルのオーナーじゃないの?(代わりに入るテナントのアテなんぞ風俗か百均くらいしかないでしょ→森オーナー)

経営資金に窮したら、お店の「怪しげな常連の出所不明なカネ」よりも商工会議所とかに相談するでしょ?

こういう話を描くのならば、鄙びた商店街で細々とやってる店に行って、経営の苦労やノウハウとか取材しなかったのかな。
…それ1つやるだけで、物語のバックボーンって相当の厚みを持ったはずだと思うのだが。
なんかいつも残念だよ、ここのお芝居。

※評価は、作り込まれた舞台美術に敬意を表し+★を加点している。

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