演劇

空想上洋品店(劇団ぎゃ。/福岡県)

空想洋品店(げきだんぎゃ。)(当日1500円)[評価:★]

まず練習不足も甚だしい。

小ネタとおふさげで構成され、描こうとした主題に真摯に向き合っていない…そもそも、何を描こうとしたのか自身でわかっているのだろうか。そのおふざけですら「友人に向けたウケ狙い」であるので、コントとして観るのもちと無理がある。

この舞台で描かれるテーマは、「服装」が持つ呪術性である。プライベートでは温厚で子煩悩でユーモアにあふれた魅力ある人が、ビジネススーツを着る事で『他人への攻撃性』(部下や納入業者に酷い態度をとれるとか)を身につけたり、軍手を着けたら自分が少し強くなった気がするとか、そういう類の服装が招く変化なのである。

この服装の呪術性に縛られ「服に沿った人格」を求められている社会人達に対して、その解呪を試みる(もしくは違う「呪い」をかける)事をたくらむ服飾デザイナー…というのが、この芝居の構図だと思うのだが、「これ」が劇中でまったく描かれていないのだ。あるのは、小ネタと自虐ネタとガールズPOPの間の繋ぎばかりである。
おまけにラスト付近で、上記のテーマを「口頭で説明」してしまうので、それまでの芝居そのものが意味を成さなくなっている。

この芝居は何を問いたいのか、その問をどう観客に提示するのか、まじめに考えて取り組んで欲しい。こういうのは「分かりやすい芝居」ではない。

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