演劇

とってもゴースト(音楽座/市民劇場)

とってもゴースト(招待/佐賀市民会館)
[評価:★★★★]

人形工房「辰政」のウメサキ氏から入場枠が1つ空いているのでどうか、とお誘いいただき、市民劇場が招聘したミュージカル、「とってもゴースト(音楽座)」を観賞。 

アパレル会社を経営する服飾デザイナー・ユキ(29と偽る35歳)は、主催するファッションショーの開催日に交通事故死してしまう。死神の説得にも応じず、自らの死を受け入れられないユキは、ゴーストとなって街をさまよい始めて途方にくれる。 霊の力が強くなる午前0時、ユキの姿を見たデザイナー志望の学生が、彼女を部屋に誘い… 

「あの世」さえもポジティブに明るく歌う、なんとも楽しいミュージカルだが、(威圧的にヒトと接してきたせいで)失踪を心配してもらえない様を描くなど、きちんと蹉跌を描いてて心に染みる。世界的な実力者でもその「業界」から一歩でも出た先では無名の存在。世間での身の丈を知る過程が、ユーモラスだが厳しく、そして寂しげである。 

「現世に未練が残る幽霊もの」の話の常として、彼女は(ゾンビコップみたいに)「短期の肉体」を得るが…まぁ元が35歳でタコツボ仕事の肉体なので、惚れた学生からまで「おばさん臭く」描かれている肖像画がなんともオカシイ(笑) 。「美貌の新鋭デザイナー」という肩書きの「美貌」自体が、後から纏ったツクリモノだったのですな。
魂を導けない(=仕事が進まない)せいで、上司からのペナルティ雷撃でボロボロにされていく死神も良い味で◎。

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