マンガにおける双眼鏡の描写が、実際の見え方と違う?

先日、架空戦記マンガでなかなかの佳作「GRAND LESS(グランドレス)」を読んでいましたら、下のような双眼鏡をのぞいたシーンがありました。

GRANDLESS 2巻(月影蛍太)
GRANDLESS 2巻(月影蛍太)

双眼鏡の視界が「∞ 横に倒した雪だるま」の形状になっています。様々なマンガ作品や映画などで、双眼鏡を使うシーンとしてこのような描写がありますが、実際の見え方はまったく異なります。

今回は、双眼鏡の視界について説明したいと思います。

双眼鏡の視界は「円形」である

いきなりの結論です。実際に双眼鏡を使った方はご存じでしょうが、双眼鏡を両目で覗いても、視界は「横倒し雪だるま形状」にはなりません。ほぼ円形になります。

双眼鏡の視界

双眼鏡をお持ちでない方も、お店などでちょっと試して下さい。ほとんどの場合、「雪だるま」形状にはならないはずです。──ほとんどの場合、と書いたからには例外があります。双眼鏡の接眼レンズ(目でのぞくほうの側)の幅が、使用者の目の幅と著しくずれて居た場合は、若干の「雪だるま」になります。しかし、これも「2つの円形の視界」が二重にボケて重なるように見え、横に広い視界にはなりません(下図)。

双眼鏡の正しい視界
※説明のため、誇張した図になっています。

この状態は、目の幅が合っておらず、綺麗に見えていない状況です。多くの双眼鏡は、レンズの幅を調節できる機能があるので、それで円形になるように視界を調整します。

双眼鏡の正しい見え方

マンガ/映像表現におけるの「記号」としての描写を否定しない

とはいえ、先に挙げたマンガ「グランドレス」だけが間違っているわけではありません。双眼鏡を雪だるま式に描くのは、多くのマンガで行われており、巨匠クラスの作家でも(たぶん実際に双眼鏡を使った事がありそうな人でも)“採用”している例を見ることができます。

手持ちのマンガで、正しく双眼鏡の視界を描いていたのは意外と見つからず、桜井画門の「亜人」くらいだったでしょうか。

海外の映画でも「雪だるま式」双眼鏡視界がある

また、映画「UNITED 93」でも、下図の様に双眼鏡を「雪だるま」式に描いています。

UNITED93

もちろん、この映画における表現も、実際の双眼鏡と違うのは言うまでもありません。

横倒し雪だるまは、双眼鏡の表現「記号」である

これらの例を見て分かることは、双眼鏡の視界を「雪だるま式」に描く事は、表現における「記号」として定着しているということです。

描く方も、たぶんわかって描いている方が多いのでしょう。

私は双眼鏡の表現がこのような形になるのは違和感があり、読書・視聴の際に気になってしまうのですが、それはそれで記号を素直に受け入れる訓練というかリテラシーがまだ足りないということでしょう。精進したいものです。

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