Adobe Stock を1ヶ月以内に解約する場合に、2万円以上を請求されない方法
写真素材の販売サイト「fotolia」が 2015年1月にAdobeに買収されて、Adobe CC のユーザー向けに「Adobe Stock」という名前で新サービスを開始しています。
この Adobe Stock は、Adobe CC のアプリ「ライブラリ」パレットに統合されて使いやすく、また、現在(2016年6月)のキャンペーン料金も、特に印刷用の高解像度画像を購入すると考えた場合、本家fotoliaよりも非常に安価です。
1ヶ月ごとの料金 | 1ヶ月のダウンロード可能数 | 1点あたりの金額 | |
---|---|---|---|
fotolia | 3,000円 | 5点 | 600円 |
Adobe Stock | 3,480円 | 10点 | 348円 |
Adobe Stockは年間契約なので注意
ここからが本題ですが、Adobe Stock は Adobe CC のように「年間契約」をして、1ヶ月毎に分割料金を支払う…という形式で、解約月以外に解約すると、違約金を支払う事になります。そう、あの悪名高い携帯電話の「2年縛り」と同じ方式なのです。
初月に解約しても違約金?
Adobe Stock を契約する前は、下記の画面のように「初月のいつでも解約可能」と明記していますが、この解約の案内と方法に落とし穴があります。

この「初月のいつでも解約可能」という案内を鵜呑みにして契約し、やっぱり気に入らなかったので、1ヶ月を経たずに解約したい…と思って。Webサイトから「解約」の手続きを取ろうとすると、20,669円の違約金を請求されます(下図)。

多くの人は、ここで「年間契約の毎月払い」であることの重要な意味に気付き、なおかつ利用規約を良く読んでいなかった──と思って、びっくりすることでしょう。このまま契約を続けるか、それともさっさと解約をするか…かなり迷うはずです(そして仕方なく、前者を選ぶのではないでしょうか)。
この表示は、法律的にどうなのか?

「最初の月は無料」「初月のいつでも解約可能」と明記している以上、1ヶ月以内は無料で試す事ができ、1ヶ月以内に解約すると無料のまま解約できる…と誰もが思ってしまうのが普通です。
消費者契約法では、このような紛らわしい表示をして契約を誘引し、「解約するなら、違約金を支払って下さい」とすることは、明確に法律で禁止しています。
事業者は、消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮するとともに、消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない。
──消費者契約法 第三条消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
①重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
──消費者契約法 第四条
従って、もし Adobe Stock の初月解約でお金を支払わなければならないとしたら、Adobeは違法行為を行っている…という話になります。しかし、Adobeは2重の方法で、この法律を回避しています。
同意したら、債務の存在を証明したことになる
まず、金額に納得が行かないなぁ…思いつつも、「今、解約されると 20,669円の解約金が発生します」を読んでから「解約する」をクリックすると、20,669円の債務があることに、あなたが同意し、その存在と債務の履行責任を証明したことになってしまいます。
したがって、この画面で「解約する」をクリックしてはいけません。
解約方法が準備されていた
「解約金を支払わないと解約できない」というルールならAdobeが違法なのですが、実は初月での解約金ゼロによる解約をする方法を、Adobeがきちんと整えています。そのせいで、このまぎらわしい契約解除の方法が、ギリギリで合法のラインに踏みとどまらせています。
これにより「解約金を支払わないといけない」のではなく、「無料で解約できる仕組みはあるのに、あえて利用者が解約金の存在を認めて支払いに同意した」という形が成立しているわけです。
おっそろしい発想です。
解約は、Adobeのサポートにチャットで問い合わせ、オペレータに「初月で解約するので、表示の通り、無料で(解約金なしで)解約していただきたい、と告げればOKです。特に何かを言われるでもなく、「わかりました」とさっくり解約してくれます。
※電話番号も表示されますが、案内通りにプッシュを押すと「その問い合わせは電話では受け付けていません」と言われて無駄な時間になります。
Adobe Stockの弱点は日本人向け素材の少なさ
筆者は、日常的にはfotolia(Adobe Stock)とPIXTAをよく使いますが、それぞれ掲載されている画像の傾向が違います。fotoliaは「え、こんなニッチな用途の素材もあるんだ」と感心するのですが、人物の写真の多くが外国人で、日本人向けのデザイン物では使いにくいです。
元が同じなのでAdobeStockもfotolia同様の問題を抱えており、私はまだ年間契約を結べる段階では無い、と勝手ながら感じています。 サイトの404エラーや、AIデータの読みこみエラーも多発しますし…。
将来の改善に期待したいところですね。