Currently browsing category

ゲーム

ゲームにまつわる話題を書いています。おもに表現規制に関わる話です。

CC福岡34
ヤフオク! ドーム I-12a

発笑探検隊は、1月19日のコミックシティ福岡34に参加します。

私達は「I-12a」に配置されており、新刊4冊(委託を含む)を準備してお待ちしております。

【新刊】抱腹Z Extra XX (著:藤原一気)

発笑探検隊 火曜日 西1ホールへ06b  藤原一気新刊「抱腹Z ExtraXX」。子供がおっさんをバカにして、引きこもりが社畜を馬鹿にする。中二病と他者軽視の微妙な関係を中心に一席…

抱腹Z Extra XX

【新刊】デジタル赤外線写真(著:東内拓理)

デジタル赤外線写真

安い型落ちのデジタルカメラを改造して、赤外線写真を撮るためのハウツー本です。

  • 赤外線写真の作例
  • 光学理論を交えた、簡単な‘’仕組み”の紹介
  • 改造に必要な材料
  • カメラの改造手順
  • ホワイトバランスの設定
  • 撮影後の色処理

赤外線特有の不思議な写真を撮るのに、数万円もするような専用カメラや機材を購入する必要はありません。ゲームソフト1本くらいで始められるように、とにかく「低予算」と「気軽」をテーマにしています。

【新刊】パンツじゃないから18禁じゃないもん!②(著:tsubasa)

パンツじゃないから18禁じゃ無いもん!2

評論サークルSORA さまの委託になります。東内が原稿の原文とレイアウトで参加しています。

数年前から度々話題になっている「オタクコンテンツの表現規制」について、題材をゲームに絞って評論しています。ギャルゲーを主体にしていた前作に続いて、今作ではFPS・TPSといったいわゆる「残酷な描写」があるゲームを多く取り上げています。

  • 民間人に攻撃するのか── コール・オブ・デューティ シリーズ
  • ゲームは原爆とどう向き合うのか── Fallout 3
  • 本機のキスと近親間の恋愛── フォトカノKISS
  • 消される血の匂い── ファイナルファンタジー、バイオハザード
  • 切り口は生々しい?── Gear of WAR シリーズ

などの実際に規制されたり表現を変えた例を取り上げています。

クルタ計算機の実演展示

ブースでは「クルタ計算機」の実演展示を行います。サークルのブースに来て頂いた方は、クルタ計算機を実際に触って、計算をするなどして楽しむことが可能です。

クルタ計算機の導入マニュアル「クルタ計算機チュートリアル 日本語版」も、少部数ですが増刷しましたので、こちらもどうぞお楽しみ下さい。

CALL of DUTY BlackOPS で削除されたシーン

以前のエントリでは、CALL of DUTY MW2 の表現規制について書きました。今回は、CoD シリーズの中で始めて「Z指定」なり、シリーズの転換点にもなった「CALL of DUTY BlackOPS」について取り上げます。

冷戦下の共産主義の恐怖を描いた作品

このゲームは、ソビエトが入手した協力な毒ガス「ノヴァ6」がアメリカ中でばらまかれる寸前かもしれない…という設定で始まる、共産圏の恐怖に包まれていた東西冷戦の時代が、物語の舞台です。

共産主義のイメージカラーが広まっていく…
共産主義のイメージカラーが、血が滲むように広まっていく

科学者(非戦闘員)への拷問シーンは、ホワイトアウトして見られない

プレイヤーが操る主人公達は、CIAの秘密工作員という設定です。アメリカへの毒ガス攻撃を防ぐべく、ガス兵器開発者のクラーク博士を「尋問」するため、九龍(香港)に向かったところから、このステージは始まります。

まず、ステージが始まる前に、プレイヤーのキャラが九龍へ出向いたことと、その目的が科学者への「尋問」であることが説明されます。

Call of DUTY BlackOps
主人公の任務・目的が語られます。
「ハドソン(このステージの主人公)は、クラークを尋問するために九龍へ派遣された、覚えているか?」

任務の説明のあと、画面が真っ白になり、音と会話だけが聞こえてきます。

Call of DUTY BlackOps
このシーンで、プレイヤーのコントローラーが振動し、「なにか衝撃を与えている」ことが示されます。

(金属音)
(なにかを殴ったような衝撃音)※プレイヤーのコントローラーのバイブ機能が動作し、主人公がアクションを起こしたことが示されます。

ハドソン「一日中、続けたっていいぜ。たっぷりあるしな!」
(誰かが咳き込み、何かを吐き出す音)
上司「こちらの欲しい物を提供すれば、身の安全は保証する」
クラーク博士「はぁ…わたしは既に死人だ。世界のどこに行っても追い回されている」

Call of DUTY BlackOps
顔中にアザと血だらけの博士が現れます

そして、画面に目の前には、アザと血だらけのクラーク博士が登場します。

ホワイトアウトしていたシーンは、科学者への「拷問シーン」だった

つまりこれは、主人公達CIA工作員による「拷問」シーンだったのです。実は、パソコン版では、このシーンではホワイトアウトせず、プレイヤーが実際に博士を殴ることができます。
Xbox360のコントローラーが振動するのは、主人公が博士を殴打しているときの演出ということでしょう。

ここでも、「民間人への一方的な虐待」はカットされています。このゲームはCERO-Z指定で、18歳未満は遊ぶことができませんが、それでも、日本の家庭用ゲームにおいては、プレイヤーが民間人への虐待を行うシーンは、かなり厳しく規制されていることが、見て取れます。

戦闘員と民間人の違いで、扱いが大きく異なる

先日のエントリでとりあげた「Gear of WAR」シリーズでは、重傷を負って戦闘不能になった敵に対して、様々な「処刑スタイル」によりトドメをさすことができました。チェーンソーを腹に押し込んだり、苦痛が長引くように頭への殴打や踏みつけだけを繰り返したり…。

這いつくばっている敵を、わざわざ仰向けにしてから、頭を踏みつぶして“処刑”する。 画面右下に「すべての処刑スタイルでとどめを刺す」のが目的として表示されます。
這いつくばっている敵を、わざわざ仰向けにしてから、頭を踏みつぶして“処刑”する。
画面右下に「すべての処刑スタイルで敵にとどめを刺す」のが目的として表示されます。(Gear of WAR 3)

相手が対等な立場にある戦闘員であれば、そのような虐殺を「娯楽」として描いてもOKということなのでしょう。

しかしCALL of DUTY BlackOPS が示すように、相手が非戦闘員(民間人)であれば、殴るシーンをホワイトアウトするほどまでに隠しながらも、しかし「拷問をしていた」とわかるようになっています。

実際、一般的な良識があれば、民間人への一方的な殴打は、どうしても心苦しいものです。元のパソコン版では、あえてそれをやらせる事で、Black OPS=秘密作戦 の陰惨さを描こうとしているのでしょう。

しかし、娯楽として供される「家庭用ゲーム」においてまでも、そういった描き方が必要か?と問われれば「必ずしもYESとは言えない」というのが、日本の家庭用ゲーム機市場ということなのでしょうか。

Fallout3、ゲームと原爆に家庭用ゲームはどう向き合うのか

前回のエントリでは、ゲーム中に存在する、原爆について書きました。今回は、もっと日本の原爆体験に近い話題です。

核兵器ランチャーの名前が変更された

このゲームの発売前、プロモーションムービーがいくつか公開されました。その中の一つに、ある核兵器を扱ったCM風のムービーがあります。

 「いじめっ子達にいじめられるのは、もうこりごりかい? ──もし、永遠にいじめっ子を消す方法があったら?」

Fallout3 FATMAN

「いいかいジミー、我々の政府にもいじめっ子がいて困ってるんだ。」

Fallout3 FATMAN ヌカランチャー

THE FATMAN、戦術核ランチャー」

Fallout3 FATMAN ヌカランチャー

FATMANというのは、ナガサキに落とされたプルトニウム型原爆の愛称です。“THE” という定冠詞を付けていることから、ナガサキの原爆を引き継いでいる存在だと思って間違い無いと思います。

いくらゲームといえども、さすがに「被爆国」でこの名前はマズイと思ったのでしょう。日本語版では「ヌカランチャー」という字幕になり、ゲーム中の装備品でも名前が変更されていました。

Fallout3 FATMAN ヌカランチャー
装備品の名前も「FATMAN」から「ヌカランチャー」という名前に変更されています(クリックで拡大)

 

被爆者としての登場人物

Fallout3 は核戦争後の世界が舞台なので、当然のようにゲーム中には「被爆者」が登場します。
ゲーム内では“グール”と呼ばれる人種で、放射線被曝の影響で歳を取ることがなく、寿命で死ぬことがありません。被曝の影響で全身がケロイド状にただれ、毛髪も疎らな見た目から、グールと呼ばれています。

Fallout3 グール

モデルは、日本の被爆者では?

キャラクター達のモデルは、日本の原爆被爆者(の生き残り)を彷彿とさせる…と言ってもいいのでしょう。明らかに、彼らがモデルだと思います。

Fallout3 グール

 グールとは、人間の死体を食べる西洋の死霊

この「グール」という名前は、元々は人肉や死体を喰らう西洋の死霊を指したものです。

もしも現実の被曝者に付けたとしたら、侮蔑としか言いようがないひどい名称ですね(私もこれはちょっと趣味が悪いな、と思います)。

しかし、このゲーム世界では、被爆者=グールに対する、いわれのない差別や偏見がきちんと描かれています。プレイヤーと彼らとの接し方によって、少しずつこのグールが世間に受け入れられていく流れを作る事も可能ですし、徹底的に無視して、もしくは空気のように受け流すなどして、お互いの精神的テリトリーを犯さないゲーム展開も可能です。

娯楽ゲームとして、本質的に伝えたいテーマとは

私は、ゲームの本質的な面白さが、できるだけ多くの方に伝わる方が良いと思います。

このゲーム「Fallout3」の本質的な面白さとは、何でしょう。ゲーム内のクリア条件はただ一つ「父親から受け継いだものを活かし、放射能汚染除去プラントを稼働させる」というものです。

その過程において、簡単には善悪の区別がつかない、無数のストーリー分岐を、プレイヤー自らの倫理観で選ぶことになります。

この、“選択”こそが、本作品の本質的な面白さなのだと思います。

その本質的な面白さが皆に伝わるためには、被爆国で、まだ被爆者も生存し、記憶も薄れていない被爆体験を茶化し、無用な不快感を与える必要はありません。このような配慮は必要だと思います。

 エンディングでは、このゲームのメインテーマが「人は、過ちを繰り返す」だと述べられます。

どういった選択肢が過ちであったのか、そもそも「正しい選択」というのが、それほど単純に成立するのか? ──ゲームの中で、常に問いかけられます。“盗人にも三分の理”ではありませんが、非道な選択肢を選んだとしても、そこには、悪党たちなりの倫理や、元悪党ゆえの贖罪といったテーマがきちんと描かれます。

このゲーム Fallout3 は日本の表現規制の中で、残酷な現実をどう画面に表示していくのかを、真っ向から挑戦した作品だったと言えるのではないでしょうか。

Fallout3、ゲームと原爆に日本ではどう向き合うのか

Fallout3 というゲームがあります。このゲームの舞台は核戦争後の荒廃したワシントンD.Cです。地上の様々な場所・食べ物・水という水が、低濃度から高濃度の放射性物質に汚染されています。主人公の目的は、この汚染された環境のなかで放射線被爆と向き合いながら、核シェルターから失踪した父の後を追い、河川の水から放射性物質を除去するプラントを動かす、というものです。

ゲーム終盤、水質浄化プラントで、高濃度放射能汚染区域の前で「誰が中に入るか」を選択する主人公とヒロイン
ゲーム終盤、放射能汚染水浄化プラントの高濃度放射能汚染区域の前で、「誰が中に入ってスイッチを押すか」の選択を迫られる主人公とヒロイン

今遊ぶと、どうしても福島の原発事故を思い出さずにはいられないシチュエーションといえるでしょう。3.11より後であれば、スムーズに発売できたのか疑わしいとも思います。

しかしこのゲームは2008年発売で、3.11より2年以上前です。当時、このゲームにおける「表現規制」とは2つの要素に絞られていました。

  • 人体欠損(ゴア)にかかる「暴力表現」
  • 原子爆弾関連の表現「被爆国での配慮」

今回のエントリでは、後者の「被爆国としての表現規制」について扱います。

原爆被爆国の日本で、このゲームをどう売るか

このゲームは、序盤に訪れる街「メガトン」にある、不発弾にギョっとさせられます。

序盤に訪れる街の真ん中にある不発の原子爆弾
序盤に訪れる街の真ん中にある不発の原子爆弾

どうみても、これは長崎に投下されたプルトニウム型原爆「FATMAN」と同型です。ゲーム中では、過去の核戦争から残る不発弾という事になっており、いつ爆発するかわからず、住民の不安のタネとなっている、という設定でした。

原子爆弾を起爆させるのは、日本では許されない

主人公に機械いじりのスキルがあれば、この原爆の信管を外して無力化することも可能です。しかしオリジナルのアメリカ版では、遠隔起爆装置を使って核爆発を起こすこともできるようになっていました。

起爆装置を解除し、爆弾を安全な状態にできる。(ただし、内部のプルトニウムは漏出をはじめており、周囲の水たまりは高濃度に汚染されています)
「爆弾処理に成功しました。これでメガトンの住人は安全です」
起爆装置を解除し、爆弾を安全な状態にできる。(ただし、内部のプルトニウムは漏出をはじめており、周囲の水たまりは高濃度に汚染されています)*クリックで拡大

ところが日本の家庭用ゲーム機版では、この「原子爆弾を起爆させる」というストーリー部分が、完全に削除されてしまっていました。アメリカが舞台とはいえ、娯楽ゲームの中で大してペナルティもなく原爆を炸裂させ、その様を眺めて楽しむ…というのは、なかなか許されないことなのでしょうか。(下はYouTubeにアップされていた、PC版です。原子爆弾を起爆して、街を壊滅させるシーン)

原爆をあがめる宗教が…

趣味が悪いことに、この原子爆弾を神聖な存在として崇める宗教まで設定されています。
信者もそこそこいて、原爆の近くで祭司がいつも演説しています。

Fallout3-saisi

神聖な分裂について思いを馳せよ。
その体をアトムに捧げるのだ。わが友よ、自身を死の前に解放し、輝きを感じ、そして分裂されよ!
涙を流すこと、悲しむこと、苦しむことも無い。この世界や苦痛や苦難から解放されるであろう!

神聖な分裂、というのは、連鎖核分裂反応のことと、それで引き裂かれる人間の肉体双方の事を指しているのでしょうか。

原子爆弾、それも核爆発を崇めるとはなんとも悪趣味で、とくにヒロシマ・ナガサキの方々のなかには、娯楽ゲームとしてはすまされない概念かもしれません。しかし、この部分は、日本語版でも削除されていませんでした。

*続きます

Gears of WAR シリーズにおける、ゴア表現の変化

日本で発売される家庭用ゲームは、そのほとんどがCEROのレーティング審査を受けており、とくに性表現や残虐なシーンには規制がかかっています。このゲームは「Z指定」で18歳未満は購入することができません。今回は、以前のエント …

CALL OF DUTY 4 MW2 の犯罪描写

海外製のゲームで「CALL OF DUTY」という人気シリーズがあります。このゲームはスクウェア・エニックスが日本語化して国内で販売しており、PlayStation3やXbox360で気軽に遊ぶことが出来ます。 戦争を題 …